桜を見ると、僕は大学生の頃を思い出す。
まるで東京らしさがない、多摩市と八王子市の中間くらいで僕は大学4年間を過ごした。
大学のキャンパスは、まるで東京らしさを感じさせず緑豊かな自然に囲まれており、地方から出てきた僕には丁度良かった。
住んでいた家の前は、春になると桜並木がとても綺麗だった。
卒業式を終えて社会人になる目前だった僕は、家の前の桜を見ながらとにかく絶望していた。
自堕落な大学生活を過ごした僕は、社会人として立派に働く自分を全く思い描くことが出来なかった。
大学4年間でもっとも嫌なことは何だったかと聞かれれば、真っ先に思い浮かぶのは就職活動だ。
同じ大学の同じ学部ですら何千人といるのに、急に同じ土俵で万人と戦わせられる気になる就活はとにかく気が滅入った。
合同企業説明会は、行くだけでどっと気持ちが落ち込んだ。
同じ容姿をした人が五万と溢れる光景が、とにかく気持ち悪かった。
僕の東京での就活はそんなネガティブな感情しかなかった時期なので、夏の東京の暑さにも通勤の満員電車にも仕事をしながら耐える気力がどうしても湧かず、僕は地元に帰ることにした。
東京が嫌いなわけではない。
今、僕は出張で頻繁に東京にくる。
東京との距離感は、これくらいが僕には丁度良い。
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エイプリルフールの今日、新元号が「令和」だと発表された。
発表の瞬間は思いの外呆気なかった。
もっと記憶に残る歴史的な一瞬を想像していたが、準備は長くて本番は一瞬だった小学生のときのピアノの発表会みたく瞬く間に終わった出来事になった。
僕は平成2年生まれだから、元号発表の時の記憶は無い。
当時はスマートフォンも無い、インターネットも無い、そんな時代だったと思うと信じられない。
新元号に肖って、企業も三者三様のプロモーションを行なっている。
金鳥の新聞30段の広告が、何だか良いな。
今週のお題「桜」