EZO TIMES

餃子とビールとJEEPを愛する平成生まれの元広告マン、現海外事業コンサルタントの雑記。

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会社を無断で辞めた僕の同期

僕が初めて入社した会社でのこと。

 

あれからまだ5年だけど、なんだか凄く昔のことのような気がする。

 

それは、僕が20代で3回も転職したからか。
あれからいろんな経験をして、あの頃とは思考も価値観も180度変わってしまったからか。

 

あの時の感情を今ははっきりと思い出せないし、あの頃、今年28歳になる僕がこんな風になっているとは到底思えなかった。

 

あの頃の自分へ。
お前は5年後、念願だった大手広告代理店に転職するけど、会社と合わず上司からパワハラも受けて半年足らずで辞めるよ。

 

広告は今でも好きだ。
広告の仕事は嫌いだけど。


新卒で入社した会社には、同期が5名程いた。
僕と同様に、東京からのUターン組がもう1人いた。

 

彼は日大でスポーツをやっていて、見た目は誰がどうみても体育会系だった。

だけど、多分会社の人達は気付いていなかった。

 

同期の中でも、彼が誰よりも繊細なハートの持ち主だったことに。


体育会系として振舞う彼は、体育会系の〇〇君として生きることに、きっとあの頃疲れ切ってしまったのだろう。

 

ガッツと元気に満ち溢れる若手新入社員を演じ続けて。

 

 

僕と彼は営業だった。

広告会社の営業は、たぶんハードだ。

 

彼の見た目は、広告代理店の新入社員としてはぴったりだった。
体力もある、お酒も強い。

 

入社したての頃、すぐに先輩から可愛がられ、クライアントの懐にどんどん入り込む彼が、僕はとても羨ましかった。

同期の中で一番スタートダッシュを決めたのは彼だったし、圧倒的なペースで心をすり減らしたのも彼だった。

 

広告会社やテレビ局の営業は、裸で歌って踊るのは日常茶飯事だし、体はボロボロの状態で相当量のあらゆる調整をこなす。

 

僕も、土日はクライアントからの電話が目覚まし時計となり、彼女とのデート中も、映画を見ていても、食事をしていても、電話とメールが鳴った。

溜め込まずに対応しないと到底追いつかなかった。

 

あー、疲れたな。
思い出すだけで、今凄く疲れた。

 

 

業務がちょっと落ち着いた頃、初めて彼が有給を取った。

そうだ、行き先は覚えてないけど、確か旅行に行くと言っていた。

 

 

旅行に行ったまま、彼は2度と会社に来なくなった。

 

僕やほかの同期も、連絡が一切途絶えてしまった。

facebookやLINEも、彼が友達から消えていた。

 

 

あれから約5年が経って、僕も広告会社を退職した。

ふと、彼のことを思い出した。

 

彼は、当時からカメラが趣味だった。

そういえば、2人で飲むときはいつもカバンにカメラが入っていた。

 

そうそう、新入社員の頃、自己紹介用に会社に自分の顔写真を提出しなきゃいけなくて。

その時、顔を真っ赤にしてビールを飲む僕の写真を撮ってくれたのが、彼だった。

 


ある時、仕事でフォトスタジオのホームページを調べていた。

 

『スタッフ一覧』をクリックすると、1番下に見覚えのある顔があった。

 

めちゃくちゃ健康的で、たぶん心の底から笑っている彼の笑顔がそこにあった。

 

僕は、映画を見て感動しても、上司やクライアントにどれだけ怒鳴られても、働き始めてから1度も涙が出なかった。

彼の笑顔を見て、自然と涙が溢れた。

 

 

 人の記憶は日々塗り替えられアップデートされていく。

もし、今の環境に悩んでいる人がいたら、環境が変われば活躍できる居場所があると信じてほしい。

 

彼は今、僕らと一緒にいた時よりも、とても生き生きと楽しそうに仕事をしている。

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